導入率は78%、活用率は29%

売上100-1,000億円規模の国内中堅企業1,200社を対象に実施した本調査では、生成AIツール(ChatGPT、Copilotなど)の社内導入率は78%に達しました。「全社員に配布済み」「特定部署で導入」を合わせた数字です。

一方、「月1回以上、業務で実際に使っている社員」は全体の29%にとどまります。導入と活用のあいだに、約50ポイントの空白地帯があります。

「使われない」3つのパターン

活用が進まない企業を聞き取ると、似たパターンが繰り返し現れます。

  1. 「使ってみてください」だけで、業務に落ちていない IT部門がアカウントを配って終わり。どの業務でどう使うか、業務側に翻訳する人がいない。
  2. セキュリティ警告が、利用前の最後の壁になっている 「機密情報は入れないでください」の運用ルールが、結果として「何も入れない」を選ばせている。利用例の不在が、心理的なロックを生む。
  3. 失敗事例の共有が組織内にない うまくいかなかったプロンプトや、AI の誤回答を見せ合う場がない。試行錯誤がローカルに閉じ、組織知になっていない。

活用率の高い企業に共通する3つの特徴

逆に、活用率が60%を超える企業(全体の8%)には、明確な共通点があります。

  1. 「業務翻訳者」が複数いる 各部署に、AI活用と業務知識の両方を持つ人材が配置されている。専任である必要はなく、兼任で十分だが、人がいる。
  2. セキュリティの線引きが具体的 「機密情報を入れない」ではなく、「顧客名・契約金額・人事情報は禁止、それ以外はOK」のように、入れていいものが先に書かれている。
  3. 毎週、社内で活用事例を共有する場がある 15分のオンライン共有会、社内Slackチャンネル、月次のショーケース。形式は様々だが、「うまくいった」も「失敗した」も流通している。

投資先は「ツール」ではなく「翻訳の仕組み」へ

2026年下期の投資計画を見ると、AIツール自体の追加導入よりも、「業務翻訳者の育成」「事例共有のオペレーション設計」「セキュリティガイドラインの実用化」への投資が増えています。ツールはすでに手元にある。次のフェーズは、それを動かす人と仕組みです。

78%が導入し、29%が使う——この50ポイントを埋めるのは、追加のAIツールではない。組織の運用設計である。
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